777撃墜?
マレーシア航空の旅客機ボーイング777型機がウクライナ東部のドネツク州内に墜落した。ウクライナ内務省によると乗客280人と乗員15人の全員が死亡した。日本外務省は大使館などを通じて邦人が乗っていたかどうかを確認している。ロシア通信によると、ウクライナ内相顧問は、マレーシア機が対空ミサイルによって撃墜されたと主張している。
こんな、とんでもない事件が起きていたそうで。
マレーシア機と同型機の777-200ER(日本語版Wikipediaより)
実は2001年にも、シベリア航空1812便に対してウクライナ国防軍がS-200対空ミサイルを”誤って”発射し撃墜する事件がありました。
対空ミサイルによる旅客機撃墜と聞くと、日本では大韓航空機撃墜事件が有名でしょうか。
さて今回の事件。
FlightRadar24を使って調べてみた該当機の消失直前のデータがこれ。
高度3万3千フィートなので、上空約1万mを
速度490ノットで、つまり910km/hで飛行していることがわかります。
その上、ウクライナとロシアの国境周辺という不安定な地域です。
http://www.flightradar24.com/data/flights/mh17/#3d6095b
こちらのリンクで確認できます。
もし、地対空ミサイルによる撃墜が事実なら、上空10キロという高高度の飛翔体を攻撃するのは容易ではありません。
西側のスティンガーミサイルにあたる、ロシアのSA-18/16のイグラミサイルは射高約3.5km。すなわち、歩兵により携行可能な対空ミサイルでは旅客機の飛翔高度まで到達不可能です。ちなみに、上記のS-200ミサイルの射高は40km。すなわち、車載の野戦防空レベルの装備が必要となります。
ウクライナ当局は、親ロシア派武装勢力がロシアの軍事諜報当局者の支援を受け、ソ連時代に開発されたSA11地対空ミサイルにより撃墜されたと非難。
ロイター通信ではSA-11地対空ミサイルによる撃墜と報じています。
1979年、旧ソ連において開発された地対空ミサイルで、射高は20km前後。高度10km以上の飛翔体まで到達可能です。亜音速かつ直線飛行の飛翔体に命中させるのは容易でしょう。元々、超音速で飛翔する巡航ミサイルや戦闘機を視野に入れて開発されましたから。
しかし、このシステムは発射機、監視レーダー及び迎撃レーダーシステムと一体で使用する必要があり、大隊若しくは連隊クラスの防空部隊が装備するもの。
個人の暴走ではなく、組織だって行われたという点で、事件の重大さを物語っています。